宮古市「実田」「あゆみ公園」2016/9/10

午前10:30- 実田

この日は遠くから被災地巡回に同行するために、朝早くから合流してくださった同業のお客様がいらっしゃいました。広島県からいらした河田尚子さんです。河田さんとは日本音楽療法学会の全国大会で数年前に初めてお話をしましたが、その頃から東日本大震災の被災地に対して深いシンパシーをお持ちでした。今回、仙台で学術大会が開催されるのに合わせて、わざわざ三陸まで足を伸ばしてくださったのでした。本当にありがとうございました。

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そして実田では、これまた久しぶりの方が!きれまち仮設でサロンにずっと参加してくださっていたHさんご夫妻です。先日、台風10号で宮古市内が土砂災害で大変だった時に、こちらからご自宅にお電話をしたのですが、その時に無事であることと次回のサロンには久しぶりに参加する旨のご連絡をいただきました。実田の常連さんとも初対面だと思いますが、そんなことは感じさせない変わらぬ饒舌ぶりに、こちらも一安心いたしました。それから一時間ほど、河田さんから差し入れてもらった広島名物もみじ饅頭で、お茶を飲みながら歌をたくさん歌いました。

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さて、サロンが終わって駐車場に戻った時に、仮設住宅から一人の女性が出てきて、我々に話しかけてきました。

「今、そこで何をやっていたんですか」

「元住民さんと一緒に、サロン活動です」

「相談会ではないんですか?」

「相談会ではないですが、どうかされましたか?」

私がそう聞くと、その女性は険しい表情で言いました。

「先日の台風10号で自宅が被災して、こちらの仮設住宅に避難してきたのですが、部屋に何も無いし掃除に一週間かかるしで、暮らし始めるのに時間がかかりました。色々と相談したいことがあるのに、市役所へ行っても不親切で誰も親身に聞いてくれません」

憤る女性を連れて、談話室に戻りました。そこにはサロン参加者の皆さんがまだ座っていて、女性の窮状を聞いていただいたのですが、皆さんからもあまり行政に関する肯定的な意見は聞かれませんでした。まずは仮設住宅を管理する社会福祉協議会に相談してみては?と皆さんが一致しておっしゃっていたのですが、泥の掻き出しなどボランティア活動で忙しい社協さんも果たして‥。

去り際、その女性は

「是非、SNSなどで発信してもらいたいのです。松山地区はひどい有様です。一切、報道されませんが、住民はみんな本当に困っています。市長に陳情にうかがいましたが、秘書どまりでさっぱり届きません。どうかよろしくお願いします」

と我々に告げました。

午後13:30- あゆみ公園

お昼ごはんに入ろうとしたレストランは、やはり店内の泥掻き出しで営業していませんでした。非常に混雑していたファミリーレストランでランチを食べ、あゆみ公園へ。談話室の壁には先日の土砂災害の痕跡がくっきりと残っていたのが印象的でした。

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飲食店を営む元住民のK夫妻の住む地域も、多くの家屋で床上浸水の被害がありましたが、幸いなことにKさんの自宅は無事だったようです。ご親戚から譲渡された自家用車は、あと一歩のところで高台まで移動して、浸水を免れたとおっしゃってました。何事もなくて、本当に良かったです。

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午前中のHさんからいただいたプルーンを食べながら(画像ではアシスタントなすちゃんが水洗いしております)元流しのギター弾きだったKさんと昭和歌謡談義をしました。

14:50- 社協デイ

一ヶ月ぶりのデイサービスです。女性ゲストが一緒だと必ず

「おねえちゃん、どこから来たの。ここ座って」

と手招きをして、さりげなく太ももなどタッチする艶福家のKさんが今回も河田さんを隣にはべらせて、ご満悦の表情でしたが、私に向かって突然

「来月から盛岡の施設に入ることになったよ、ここで会うの最後だね」

とおっしゃいました。びっくりする私。

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女性ばかりではなく、私にもなすちゃんにも愛想良く語りかけてくださったKさんがいなくなるというのは本当に寂しいことでした。80代後半とは思えないほど色艶も良いKさん、これからもずっとお元気で過ごしてくださいね。

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