前口上とか歌の中のセリフ

仮設住宅や介護予防教室、高齢者施設などで懐メロを参加者と一緒に歌うと、時々イントロや間奏で私は「前口上」や「セリフ」を言うことがあります。
前口上というのは、リサイタルなどで浜村淳(古)といった司会者が歌手と曲名を紹介する際に、即興で(即興じゃない場合もありますが)歌い出しギリギリまでに内容をドラマチックにかいつまんでしゃべるアレです。アレっていっても若い方には通じないかもしれませんが。
「山の憂いもあろうけど 海には海の悲しみよ
高嶺の百合より 何よりも くれない色のその姿
あざみのような私の涙 それでは歌っていただきましょう
昭和の名曲 あざみの唄です!」
まあ、これもざっくりと今テキトーに書いておりますが、こんな感じで私はイントロ弾きながら時々浜村淳口調でしゃべっております。
あとはセリフ。
有名ドコロでは
「花街の母」‥いくらなじんだ水でも
「からたち日記」‥幸せになろうねって
「悲しい酒」‥ああ、別れたあとの
などなど、たくさんあります。
セリフといえば。
「お富さん」や「金色夜叉」「湯島の白梅」などの文学や演劇がもとになった楽曲でも、セリフをさしはさむことがあります。
ここではお富さんの名台詞をのせてみましょう。
え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ」「そういうお前は」
「与三郎だ」「えぇっ」「おぬしぁ、おれを見忘れたか」「えええ」
「しがねぇ恋の情けが仇(あだ) 
命の綱の切れたのを
どう取り留めてか 木更津から 
めぐる月日も三年(みとせ)越し
江戸の親にやぁ勘当うけ 
よんどころなく鎌倉の
谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても面(つら)に受けたる看板の 
疵がもっけの幸いに 
切られ与三と異名をとり
押借(おしが)り強請やぁ習おうより
慣れた時代(じでえ)の源氏店
そのしらばけか黒塀(くろべえ)の 
格子造りの囲いもの
死んだと思ったお富たぁ 
お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁ おぬしぁ 達者でいたなぁ
安やいこれじゃぁ一分(いちぶ)じゃぁ 帰(けぇ)られめぇじゃねぇか

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