ここ数日、我が家にお客さんが滞在しました。
彼の名前はヤマザキデルス君。アメリカはシカゴの高校を卒業したばかりの若者です。昨年に引き続き、我が家に泊まって三陸沿岸の被災地へ赴き、災害支援ボランティアを行うためにやってきました。
「ん?この名前‥どこかで」
と思ったあなた。そうです。
「テルマエ・ロマエ」という空前の大ヒット漫画&映画でお馴染みの漫画家・ヤマザキマリさんの一人息子です。エッセイ漫画にも登場している彼は、はっきり言って漫画そのものです。
イタリア家族風林火山
きっかけは2012年春の、東京都内某所で行われた某イベントの打ち上げ会場でした。初対面だったヤマザキマリさんとトイメンでお話をする機会に恵まれた私は、東日本大震災の被災地となった三陸沿岸で音楽療法による支援を行なっていると告げたところ、興味を持ったヤマザキさんが
「うちの息子、ボランティアさせたい!」
とおっしゃってくださり、その後メールで連絡を取り合い息子さんの来日&ボランティアが実現しました。
2012年の夏は、まだ「かわいキャンプ」という無料宿泊施設があったので、そこに送り届け、宮古市と大槌町で様々なボランティア活動をしたデルスでしたが、同年代のボランティアさんとの出会いがとても楽しかったらしく、今年も再びやってきました。
一日目
昨年は迎えに行きましたが、今年は私もなすちゃんも多忙だったため自力で私の職場まで来てもらいました。初めて日本の精神科病院に来た彼は、なんの先入観もなくデイケアの利用者さんと接して、すぐに友達になっていました。本当に天真爛漫という言葉がぴったりの素直なキャラクターです。
「僕は水生動物が大好きです、イルカ漁には反対なんです」
と言う彼に、誰かが
「君が向かう三陸ではイルカの切り身売ってるよ」
と意地悪なことを告げると、ちょっと顔がひきつっていました。
病院の送迎バスで自宅近くで降りて
「すぐそこに美味しい和菓子屋さんがあるよ」
と教えると
「北海道のおばあちゃんが甘いもの好きなので、おみやげ買いたい!」
と色めき立ち、一緒に和菓子屋へ立ち寄りました。
真剣に選ぶデルス。しかし日持ちしないと聞いて、最終日に再び立ち寄ると宣言して、自分のぶんを買ってお茶を飲んで帰りました。
我が家の営業部長ユキちゃんの歓迎を受けるデルス。
自宅では出産予定日を翌日に控えた妹とその夫(スウェーデン人)そして我が母が出迎え、イタリア家族に負けないくらいの遠慮の無さでデルスに接していました。
二日目
産婦人科を受診する妹夫妻と一緒に町まで出て「オススメ、じゃじゃ麺ダヨ」と言う妹婿のススメにも関わらずラーメン食ってから陸前高田市までバスで向かったようです。無事についたかな?と心配でしたが、無事にホテル到着時にメールをくれたので安心しました。
三日目
音沙汰なし。
四日目
とりあえず盛岡着の時間のみ連絡あり。
五日目
「ええと、盛岡駅を探検したいのでブラブラしていてもいいですか」
との連絡あり。
「しなはれや!!」
と返事。
ちょっと遅めに迎えに行くと、とても充実した表情でした。話を聞く前に
「デルス、君のお母さん入院しているみたいだから電話したら」
と告げて、ちょっと慌てさせてしまいました。
携帯電話からSkypeで電話したところ、ちょうと旦那さんもいて楽しく会話できたようです。良かった良かった。
二泊目の我が家ではさらに遠慮の無くなった母と妹(出産伸びた)と妹婿と美味しい焼肉を食べて、その晩はぐっすり眠ったようです。
六日目
(今日ですね)
我々(私となすちゃん)は仕事で早く出るため、朝食の真っ最中のデルスに別れをつげ、そのまま家を出ました。
「本当に楽しかったです!また来年も来ます!」
デルスの差し出した手はとても力強かったです。
「約束だよ、また来てね!!」
あまり他人に愛想の良くない私にしては、珍しい言葉で彼と別れて来ました。
どうやら私はデルスのことが大好きなようです。
まるで息子のように思います。
(ヤマザキマリさん同い年なので、こういう年齢の息子がいてもおかしくないですな)
彼は持ち前の明るさと人懐こさで、陸前高田市では多くの出会いに恵まれたようです。そしてたくさんの人の心に希望と明るさをもたらしたことと思います。世界を飛び回って子育てをした偉大なる漫画家、ヤマザキマリさんの素晴らしい教えと尊い精神がそのまま彼の存在に反映されているのだと、つくづく感じました。
また来年、変わらぬ明るさと陽気さ(そしてマイペースさ)で、岩手に来てくれることを今から待ち望んでいます。
(ヤマザキマリさん、早く元気になってくださいね!)
※記事と画像の掲載についてはヤマザキマリさん、ご本人のデルス君から事前に了解をいただいております
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