宮古市「清寿荘」「赤前」2016/3/21

午前10:30- 清寿荘

宮古市津軽石地域はすっかり春めいた陽気で、仮設に向かう道では白く咲いた梅の花が目に入りました。風はまだまだ冷たいので、これからゆっくりとあちこちで春の訪れを感じる光景が見られるでしょう。

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清寿荘隣接仮設でいつもご一緒する皆さん、すでに新居や災害公営住宅にお引っ越しをした方ばかりなので、仮設談話室に集まるのはイベントの時だけです。そのせいなのか、我々が到着した時には元住民の方以外に、近所の小学生三人が片隅で何やらゲームに興じておりました。ここは以前から、仮設の住人よりも近隣の家から来る人々が多いような気がします。上手に仮設住民と近隣住民の交流が行われたのかな?と思いきや、話を聞けばあまりそういう訳でも無かったとのこと。不思議な現象ですね。

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一応、利用者名簿にそれぞれ名前は書いていたようですが、歌と体操のサロンが始まった途端に(音楽の大きさで会話が出来なかったせいもあるのか)外に出ていってしまいました。

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ここの皆さんには先週、一足先に宮古市在住の音楽療法士、お弟子Yから写真集が手渡されていたので、先にいらしていたお二人から感想を聞かせていただきました。津波前に住んでいた地域で、良く顔を合わせたり挨拶を交わした方々が、別の仮設で元気に歌を歌っている写真が掲載されていて、とても安心したし懐かしかったと言っていただきました。

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これまで4年半で20回近くここにはお邪魔していたのですが、毎回参加していただいた方にはお名前を聞いていたので、その名簿を頼りに写真集を配布しようと思っています。今回ご参加いただいた三名の皆さんに、名簿にある名前を確認していただいたところ、何人かは引越し先が分かる、とか同じ災害公営住宅にいるなどの貴重な情報が得られました。

「良かったら、私が預かって渡してきましょうか」

とありがたい申し出をいただいたので、お言葉に甘えて数冊託してきました。また、今でも仮設に住んでいる方にはアシスタントなすちゃんが同行して、住居まで届けに行っていただきました。良かった!

何曲か懐メロを歌った後に、みんなでおいしくお茶を飲みました。今の暮らしぶりについて、笑いながら情報交換も出来て、有意義な一時となりました。そうそう、前日は3月11日だったので皆さんにどんなふうに過ごしたのですか?と質問したのですが

「テレビが震災のことばっかりで、見たくなかった」

「追悼集会も市内であったようだけど、何だかちょっと行く気はしなくて‥ねえ」

とのことでした。なるほど。

午後13:30- 赤前

スーパーマーケットで妙な弁当を平らげたあと、赤前に向かいました。外のベンチでひなたぼっこをしていた最高齢の女性に挨拶をして、一緒に談話室に入ると、すでにお弟子Yと他の住人さんがいました。

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ここ赤前はNHKの取材時に色々とご協力をいただいた場所なので、写真集をやっとお届けできたのが個人的に感慨深かったです。あの時はお騒がせしました‥。

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最初のページから順にめくる方、真っ先に赤前の頁を開く方、様々でしたが、皆さんから

「こんなに立派な本にしてもらってねえ」

「これなら時間かかって当たり前だわ」

とねぎらっていただきました。ありがとうございます‥!昨年秋に残念ながら亡くなってしまった方のご遺族を含めて、Nさんがまとめて配布を請け負ってくださったのも大変ありがたかったです。赤前ばかりではなく、たまたま見つけた藤畑仮設のお知り合いにも届けてくださるそうで、助かりました。というのも、藤畑は二年以上前に訪問を打ち切ったところで、コンタクトを取る方法を悩んでいたのです。これで何とか藤畑の皆さんともつながりそうです。

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4年半の仮設生活を写真集でダイジェストにして眺めていると、皆さんの胸にはいろんな思いが去来している様子でした。背中におんぶしていた孫がもうすぐ5歳になるのよ、と目を細めて語る人。昔はまるまるとしていたのに、仮設に暮らすあいだにすっかり痩せちゃったと笑う人。初期は大勢の参加者で賑わっていたサロンの写真も、懐かしいやら寂しいやら複雑な感情を呼び起こします。

赤前仮設は今年の8月に半分の住居を取り壊し、来年8月には全ての住居を撤去予定だそうです。赤前小学校の校庭に建設されているので、子どもたちのために仮設を撤去しなければならない、という事情です。最高齢の女性は今年撤去のエリアに住んでいるので、夏に向けてどうやって部屋を移ればいいのか、と周囲の皆さんも頭を悩ませているところだと聞きました。

前日は大船渡市の沢川仮設を訪問していたのですが、ここも盛小学校の校庭に建設されたので、6月には全ての住民がよそへ集約されると聞きました。住居が撤去されても、土台作りの段階で埋め込まれた砂利を掘り返すのに一年かかるそうです。元の校庭に戻すのには、気の遠くなるような時間と手間がかかります。

赤前を出て、小山田にある総合福祉センターの社協デイサービスにお邪魔しました。

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魚のスライド、瀬戸の花嫁ダンス、幸せなら手を叩こうでのハイタッチなどを行いました。初めてお会いする利用者さんもいて、とても賑やかでした。

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