16:00- 吉里吉里第二
集会所に入ると、いつものS姐さんと一緒に女児がいました。目鼻立ちのはっきりした、とても印象的な娘でした。絵本の文字を丁寧に指でなぞりながら、音読していました。前回も姐さんは子供を集会所に引き入れて、大人の活動である音楽療法に新しい空気を呼びいれようとしていたのですが、今日もそんな強い思いを感じました。
私が行っている音楽療法のプログラムは私が長年の経験から構築していますが、それを受け入れる現地の皆さんがどう解釈されるかについては関与せず、相手の自由な態度にお任せしています。なぜなら、主体は仮設の方だからです。私は音楽の持つ魔術的な効用を素材として持ち込むだけで、意味性というものを忌避するようにしています。どう料理されようと、看過しています。
仮設住宅に住む皆さんが、被災から二年を経てどういう生活を送っているのか、このブログをご覧の皆さんはどうご想像されるでしょうか?復興に向けて住民が一丸となっているのか。自治体と連携して前向きに未来を見据えているのか。ポジティブな光景を想像される方も多いでしょう。
仮設に住む人々は感情を持つ普通の人間です。人が多くいる空間では相克も蹉跌も衝突もあります。被災者同士とはいえ、みんなが仲良く暮らしているケースばかりではありません。思いは人それぞれであり、どれが正しいとは誰にも言えません。血の通った日々を目の当たりにしなければ、今の被災地の状況を理解できないと思います。
つらつらと意味新なことを書き連ねましたが、音楽を楽しむ住人の皆さんの笑顔には一切の嘘はありません。子供と大人が同居した空間をどう構築していくか、については私の大きな課題です。S姐さん、今回も本当にありがとうございました。参加してくださった住民の皆さんの屈託のない笑顔にも感謝です。
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