去年2011年8月には宮古市も山田町も、ほぼ全ての避難所が解散となり、避難していた人々は完成した仮設住宅や、内陸のみなし仮設、その他の場所へと引っ越していきました。
私は丸四カ月もの間、ずっと毎週盛岡から被災地の宮古市・山田町に通っていましたが、避難所が無くなったからもう支援は終わり、とは思えませんでした。出来れば、仮設住宅に移り住んだ人々のもとへも、音楽を届けたいと思っていました。
しかし、宮古市では最初のとっかかりが遠方から来ていた保健師さんだったので、その方がいなくなったらもう誰を通せばいいのか不明でした。宮古保健センターの保健師さんで知っている人がいたので、その方にも「音楽療法での支援をしたいので、仲介してほしい」と頼みましたが、地元保健センターの皆さんはもうてんてこまいの状態で、とても私などに構っている余裕はなく、断られました。
山田町も同様でした。それまであちこちの避難所をまわるように指示をくれていた保健師さんからは
「今までありがとうございました」
とメールが来て、これからもうかがいたいのですと言っても反応はありませんでした。
これでもう、私の被災地巡回は終わらざるを得ないのか‥と諦めムードだったのですが、たまたま他の仕事で宮古市を通過する際
「諦めは愚か者の結論」
というパタリロに出てきた台詞を思い出し(私の持つ様々な知識の源は昔の漫画からです)、大勢のボランティアでにぎわう小山田の社会福祉協議会にお邪魔。アポ無しにも関わらず、偶然見かけたW課長さんに声をかけました。
(Wさんはずっと昔から、宮古で児童の音楽療法をする際に顔を出してくださっていました)
交渉の重要なポイントがありました。
私が宮古市に来る時は全て自費でまかなうボランティアなのですが、病院の常勤である私には土曜出勤が月に2回課せられていました。毎週土曜日被災地に来るとなると、年次休暇を使わなければいけません。加えて、勤務先に対して私のボランティア活動をオフィシャルに扱ってもらうと非常に助かるのです。
「ボランティアなのでお金はいらないのですが、できれば社会福祉協議会から私の職場宛に派遣依頼文書を出していただきたいのです」
この無謀なお願いをした時、やはりW課長さんは困惑なさっていました。
「一度、こちらでそれが可能かどうか確認してからお返事しますね」
駄目モトで頼んだことでしたので、私はそれから数日「駄目なら駄目で、またツテを探そう」と思っていましたが、何とOKが出ました。押しかけボランティアに派遣依頼文書というのは稀、というか他に例の無いことだったと思います。
今でも御尽力くださったW課長、宮古市社会福祉協議会に対しては頭があがりません。
午前10:30-11:30 清寿荘
さて、晴れてこの年の10月初日から仮設住宅を回ることになりました。
記念すべき一回目は、津軽石からさらに奥へと入って行った払川にある老人施設敷地内の仮設。
「他のボランティアやイベントの入りにくい場所を主にお願いします」
ということで、ここが選ばれたようです。
途中、山田線の線路を越えるポイントがあったのですが、踏切にはロープが張られていて、鉄もすっかり赤くさびていました。
大人の方は5名参加してくださいました。
談話室の外と中には、多くの小学生たちがいたので、彼らにもまざってもらいました。
100円ショップで買ったじゃんけんバーのセットがあったので、大人VS子供でじゃんけん大会をして遊びました。
画像、私の足元に風船セットが転がっていますが、子供がいるときはアートバルーンで犬だのねずみを作ってます。でも子供は自分でふくらませて自分でねじりたいんですよね。この日もかなりの数が破裂しました。
6曲を歌い、じゃんけん大会をし、手遊びや体操もして「さあ、そろそろ終わりの時間」と思ったら、子供たちが
「あたしたち、ばあちゃんたちに小学校の校歌歌ってあげたい」
と言いだしました。参加してくださった大人たちも、彼らと同じ小学校の卒業なのだそうです。
子供の殆どは小学校1年生で入学して間もないのに、3番までよどみなく歌っていました。
この日で一番、大人たちの心に響いた歌声だったと思います。
午後13:30-14:30 愛宕小学校
昼休憩をはさんで訪問しましたが、誰も談話室を訪れませんでした。
(産業まつりというイベントがあったのも要因だと聞きました)
私とアシスタント二人で、伴奏の時の和声法についての雑談をして時間を過ごしました。
まあ、私も相当能天気でお気楽な性格なので「誰も来なければ来なくて別にいいや」と思って気に病みません。
(半分強がり)
この後、14:45からはW課長と社会福祉協議会への恩返しということで、小山田の老人デイサービスセンターでの音楽療法を行いました。
これは現在も続いてます。元気な皆さんを相手に、こちらが元気をいただいてます。
(最近の話ですが、一度おひねりをいただきました‥丁重にお返ししましたけど)
コメント