奈良の出会い、再会、再出発

前泊した大阪難波から電車で奈良の会場「畝傍御陵前駅」へと向かったのですが、我ながら大人のくせに!と憤るほどの珍道中になりました…どうして奈良駅まで行ってしまうのか自分よ。あと近鉄の駅員みんな忙しいからっててきとーなこと言い過ぎですよ(責任転嫁)。ぜいぜい。たどりついたらドラゴンのオブジェがお出迎えでした。社会福祉総合センター5階大会議室では松井先生のビデオレクチャーの真っ最中、そろそろっと後ろのほうへと忍びこむと、主催の藤原先生から

「今日の講師の長洞先生です」

と紹介された若い女性から

「智田先生、私です!長洞です!」

と言われ…あ、あなたは!!10年以上前、私が宮古市で月に一度やっていた音楽療法に見学に来ていた高校3年生のナガホラちゃんじゃないですか!!東日本大震災の津波でご自宅が流されたと聞いていて、ずいぶんと心配したものでしたが(ご家族は皆さんご無事だったと聞いてはいました)。

「音楽大学を出てから、淑徳大学の院生になって、今は宇佐川先生が残したセンターに勤務しています」

それで松井先生のかわりにこうして奈良の講師にまでなっているとは…本当に月日の流れってすごいです。大人っぽく美しくなっていましたが、やりとりしていると当時のままの天真爛漫さで安心しました。

02

私のあてふり「365歩のマーチ」をする長洞先生。

彼女のレクチャーはとてもわかりやすく、かつ宇佐川先生の理論を正確に受講生へと伝えているので、参加していてとても勉強になりました。いつか地元でも講演していただけたらいいなあ。

私の出番では、PowerPointで作成したデータや画像を提示しながら、震災から3年経過した被災地で暮らす人々の状況や、抱えている問題、解決しなければならない課題についてお話させていただきました。流出する人口、仮設住宅で孤独死する人、自殺、関連死、生活不活発病、災害復興住宅への転居による再度のコミュニティ破壊など。そういった中、定期的に音楽療法士が「歌と体操のサロン」と称して被災者とどう向き合って関与できうるのか、話しながら自分でも新たな気付きと確信が生まれてくるのを感じました。

活動を開始して一年目に松井紀和先生が被災地巡回に同行してくださり、迷いながら活動を続ける私に向けて言ってくださった言葉が

「震災や津波で喪失という体験をした被災者に向けて、音楽という新たな楽しい体験を積み重ねる機会を与えているのだから、音楽療法士の一番の資質である“直感”を信じて君の思った通りにやっていけばいい」

でした。この言葉がこの三年間の支えであり、原動力であるなあと再認しました。岡崎香奈さんも言っているように、直感を鍛えることは出来ないのですが、直感を信じる力を鍛えることは可能です。その場その場で出会う被災地の人々と向き合って湧き上がる自らの音楽の想像力と表現をよりどころに、これから先何年もまた続けて行きたい、と奈良で思いを新たにすることが出来ました。

素晴らしい機会を与えていただき、本当にありがとうございました。今日はちなみに主催の高橋先生、藤原先生たちと一緒に吉野山の桜を見てきます!きゃっほー!

01

コメント

タイトルとURLをコピーしました