宮古市「きむら」で楽しい一夜を

2011年3月の東日本大震災発生後、宮古小学校体育館の避難所で初めて出会い、あゆみ公園仮設で再開した木村さんご夫妻。もともとは埼玉県で流しのギターを演奏していた旦那さんと、歌の上手な奥さんが一念発起して、宮古市向町に新装開店させた居酒屋「きむら」で、念願の楽しい一夜を過ごしてきました。

前も書いたような気もしますが、そもそも木村さんと最初にお話をしたのは、我々がまだ避難所を純化していた頃なので、2011年5月か6月頃だったと思います。何度か他の方々へ懐メロを歌ったりクラシックや映画音楽のリクエストに答えている様子を、ご自身の寝泊まりしているエリア(音楽療法の場所に近いところでした、確か)からご覧になっていて、ある日ご自身が流しとして数十年歌を歌っていたこと、夫婦で新天地を求めて2004年に埼玉県から宮古市へ引っ越して店を始めたこと、せっかく軌道に乗った店が津波で流されて、ご自身も半身麻痺という病魔に冒されていること…などを語ってくださいました。翌週、音楽療法では使わなくなった安物のクラシックギターをリハビリに使ってください、と進呈したところ、木村さんは涙を流しながら

「音楽をやってる人ってあたたかいね」

と私に言ってくださったこと…を今でも昨日のことのように思い出します。その後、宮古市内の仮設住宅を巡回するようになってから、偶然あゆみ公園仮設にお住まいの木村さんと再会を果たしました。何度目家の訪問のあと、木村さんが再開したお店でお昼ごはんをご馳走になった時にいただいた餃子とお刺身がとても美味しくて、いつかは夜にお邪魔してお酒飲みながらまた食べたいなーと思っていました。実現して感無量です。

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周囲は空き地のままですので、橋の袂にいくとわかりやすく「きむら」が建っております。私とアシスタントなすちゃんはホテルで借りた自転車に乗っていきましたが、宮古駅から向かう方はタクシー使ったほうが良いかと思います。

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お通しのみょうが甘酢漬けとおくら、小松菜のお浸しです。

予告なしでおじゃましたので、ご夫妻ともびっくりなさってましたが、ほぼ満員の店内を忙しそうに切り盛りされてまいた。復興工事関係のおじさんや初めて店に来て美味しい美味しいと喜んでいる若いご夫婦と仲良くなって、一緒にお酒を飲んでよもやまばなしをすることができました。

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刺し身三点盛りは何と800円!三陸でとれた魚ですよー、なんでこの値段なんでしょうか。

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「これ、つまみにちょっと食べてみてよ」

と木村のお父さんがくれたのは、にんにくスライスの甘酢漬けです。み、緑色?なんでもとれたてのにんにくはこの色になるんですって!

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そしてお父さん自慢の餃子、これで500円!アシスタントなすちゃん、あっというまに二皿平らげましたが、お客さんの中にはふつーに20個、40個ぺろりと食べる人がいるんだそうですよ。納得の味です。

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若夫婦の旦那さん、翌日は野球大会があるというので深酒しないようにセーブしておりましたが、とても話の面白いお二人でした。地元の若者のパワーが復興に大きな力となっているのだなあ、と実感。

(一応、この場ではブログに掲載する旨は許可いただきましたがなにぶんお互いお酒が入っていたので、もしNGだった場合はご一報ください、Sさん)

70歳を過ぎて未曾有の災害に遭遇し、全てを失い自らも病魔に倒れながら、不屈の精神と明るさで逆境を乗り切り、今はこうやって人々から愛される店を切り盛りしている木村さんご夫妻。お二人の生き様に励まされて、私も不屈の精神で仕事を頑張っていきたい!と思います。

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