4月 06

取引先の皆さまへ大事なお知らせ

一般社団法人東北音楽療法推進プロジェクト“えころん”代表理事の智田邦徳です。平素は大変お世話になっております。

前回のブログ記事にも書きましたが、当法人では新たに山崎尚子(日本音楽療法学会認定音楽療法士)を迎えて、新体制で2016年度の業務を行ってまいります。この件に関しての問い合せがありましたので、改めてこの場をお借りしてご説明とお願いを申し上げます。

当法人は非営利型の一般社団法人ですが、被災地支援以外の音楽療法業務は収益事業として位置づけております。自治体や施設、病院など外部からの音楽療法委託が主です。新年度からは法人事務局のある盛岡市から離れた場所での業務を山崎尚子がメインで行うことになりました。理由は下記の通りです。

(1)健康上の理由

私(智田)は2011年の東日本大震災発生から継続的して被災地支援の音楽療法「歌と体操のサロン」を毎週末行ってきましたが、通常の業務も休みなく行っていたため、昨年2015年に体調を崩しました。自己管理を怠っていた結果のていたらくなので大変お恥ずかしいのですが、同じペースで仕事をこなしていくのが困難な状況になりました。しばらくの間は無理をせずに仕事を山崎に託して行こうと思います。

(現在は体調も戻り、普通に生活しております。ご心配をおかけして申しわけありませんでした)

(2)経済的な理由

仕事を分担するために新たな社員を迎えたことで、アシスタントなすちゃんこと澤瀬と山崎尚子の二人分の給料を支払うことになりました。これまでは東日本大震災関連の助成金などで公益事業(被災地支援)の際の日当や交通費、宿泊費を充当することが出来ましたが、申請できる助成金が激減している昨今、収益事業から出た利益から捻出して公益事業を継続していかなければならない状況になっております。前回の記事にも書きましたが、年間で150万円ほど経費がかかり、今年度はこれがそのまま赤字に転じる見通しです。

私が音楽療法を行う際の日当の目安は3万円~(半日では1万5千円~)と設定しております。これは法人運営をする上でギリギリの線です。これまで取引の合った委託先から、予算削減で新年度は単価を下げてもらいたいというお話がありましたが、その場合は申し訳ありませんが上記の理由により私より単価が低い山崎尚子(日当1万5千円~、半日で1万円~)を派遣させていただきます。なにとぞご了承いただけますようお願い申し上げます。申し送りなどの都合で、今年度に限り澤瀬が補助につきますので、内容についてはご安心いただけると思います。

(3)音楽療法の普及

「他の音楽療法士ではなく、是非とも智田さんに来てもらいたいのですが」

という、大変ありがたいお言葉もいただきました。長いお付き合いの中で、深い信頼関係を築いていただけたことに心から感謝申し上げます。ただ、これは別の側面から見れば少々困ったことでもあります。他の音楽療法士の仕事内容にもきちんと同じように満足して、信頼していただけるような努力を私が怠ってきたせいかもしれません。山崎尚子は6年以上、私が間近でノウハウや技術、心構えを教えてきた愛弟子です。とても素晴らしいセッションをする感受性と才能の豊かな音楽療法士です。なるべく多くの場で、たくさんの皆さんに音楽療法を体験していただくためにも、どうぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

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10月 14

被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい

この度、READYFORというクラウドファンディングにご協力願い、これまでの被災地支援活動で記録用に撮影してきた画像を写真集として出版し、参加して下さった被災地の皆さんや協力してくださった関係各位へ無料配布する‥というプロジェクトを開始いたしました。以下はその説明です。長文ですが、是非ご一読いただければと思います。

手芸の光景 (2)

こんにちは。私は岩手県在住の音楽療法士で、一般社団法人東北音楽療法推進プロジェクト代表の智田邦徳(ちだくにのり)といいます。東日本大震災の被災地となった三陸沿岸の人々を対象に、2011年から音楽による心と体のケアを行っております。活動を開始して今年で四年と数ヶ月、ほぼ毎週末、被災地へ通い続け、のべ1000人以上の人と共に音楽療法「歌と体操のサロン」でたくさんの歌を歌い、踊りを踊って笑顔で過ごしてきました。
 
しかし、音楽を通した楽しい時間は記憶に残りますが、形として手元に残りません。家やふるさとを津波によって失った皆さんに向けて、新たな体験の積み重ねの証を、形に残る写真集として配り、お届けしたいと考えるようになりました。
 
写真集という手元に残る思い出は、喪失体験によって傷ついた彼らにとって貴重な財産になり「心の復興」へと繋がります。「歌と体操のサロン」参加者やご家族、ご協力いただいた団体へまんべんなく写真集を配布するためには、制作費として610,000円必要です。皆さんのご支援をお願いいたします。
 
私は2011年3月11日に発生した東日本大震災の発生直後から、三陸沿岸で被災した方々の心と体をケアするため、音楽を活用した治療、音楽療法を続けてきました。震災一カ月後から数か月間は毎週末、避難所10か所をめぐって音楽に合わせた体操や発散を目的とした歌唱活動などを通して避難している人たちの健康維持に努めてきました。
 
その活動も今年で5年目です。活動当初は単独での活動でしたが、2013年には、被災地に近い人間が継続的に活動していく環境づくりの必要性を感じたため、同じ志を持った仲間たちと一般社団法人東北音楽療法推進プロジェクト、愛称「えころん」を設立しました。現在は彼らと共に、宮古、大槌、大船渡の3市町、38カ所の仮設住宅を定期的に回っています。
 
仮設住宅の巡回ボランティアを続けて4年数ヶ月が経過しましたが、被災者の皆さんと共に過ごす時間は得難い体験の連続です。仮設住宅の空き部屋や公民館にあつまって数人~多くて2、30人で実施します。一時間いっぱい何曲も続けて歌うこともありますが、日によっては歌わずに、参加した方の被災体験や津波前の街の様子に関する思い出話に耳を傾けるだけで終わることもあります。
 
訪問回数を重ねるごとに、参加者の皆さんが徐々に思いを話すようになったのは、我々との信頼関係が徐々に構築されてきたからではないかと感じています。中には津波による被災体験は三回目だ、という方もいました。「歌と体操のサロン」の活動を終えて帰り支度をしていると、皆さんから「また来てね」「(仮設の部屋では)声が出せないから、ここで大声で歌うことが出来てよかった」などの感想をいただきます。とても励まされます。
 
東日本大震災の発生以来、ほぼ毎週末被災地を巡回して仮設住宅などをで活動してきましたが、被災者自身のみならず、彼らを取り巻く行政や周囲の住民も仮設住宅を「仮の住まい」として捉えています。そして仮設に住む日々はあまり肯定的に捉えられていません。「いずれ出るのだから」とか「ここで死にたくはないから早く出たい」などの言葉も聞かれます。
 
しかし、仮設に住んだ数年間は彼らにとって「仮の時間」ではなく、実体を伴った大切な時間だったはずです。そして「仮設住宅」で暮らした数年間にも心からの笑顔や人々との出会い・ふれあいなどの素敵な瞬間の積み重ねがあった、という肯定的なメッセージを何かの機会に伝えたいと思っていました。
 
そんな事を考えていたところ、参加者に配布していたニュースに書かれている「今月の巡回予定」を見た方々から「他の仮設はどんな様子なの?ここ(自分の仮設)以外は行ったこと無いから‥」という感想をいただきました。試しに集会所のモニターで他の仮設の活動光景を上映したところ、思いがけず良い反応が得られました。自分たちだけではなく、同じ被災地で暮らす他の皆さんの姿にも、強く励まされるということを知りました。そこで音楽療法の時間中に見せてもらった皆さんの笑顔が満載の写真集を贈りたいと思いました。
 
東日本大震災の被災者は主に津波によって家を流され、思い出の品も故郷も全て喪失しました。音楽療法は音楽によって、被災した人々に新たな楽しい体験を積み重ねていただくのが目的ですが、残念ながら音楽と共に過ごした時間は形に残りません。写真集という手元に残る思い出は、喪失体験によって傷ついた彼らにとって貴重な財産になるのではないか、と思っています。
 
 
被災者と共にこれからも歩んでいくために、ご支援をお願いいたします!
 
我々、一般社団法人東北音楽療法推進プロジェクトが記録用に撮影したデジカメ画像を今年中に一冊の写真集にまとめて、これまで音楽療法に参加した仮設住民の皆さんに来年(2016年)中に無料配布をいたします。
 
カラーの画像を厚手の紙に印刷して製本するのは、編集や色校正、デザインなど大変お金がかかります。また、音楽療法の参加者やそのご家族、協力団体など皆さんにまんべんなく行き渡るための数を揃えるには、多額の印刷費がかかります。当法人は寄付金と助成のみで被災地支援を行っているため、製本費用として皆様からのご支援を賜りたいと思います。なにとぞよろしくお願い申し上げます!

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READYFOR

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9月 25

「音楽療法集中講義」岩手大学教育学部 2015/9/21-23

世間ではシルバーウイークという名の大型連休でしたが、私はこれまで隔年のペースで担当してきた岩手大学教育学部の講義を(昨年度からまだ一年しか経っていませんが諸事情により)実施してきました。まあ、諸事情というのは音楽療法の講義が今回で最後(の予定)だからです。2003年に開始したので、もう12年にもなるのですね‥当時の学生さんは既に30歳を過ぎて立派な社会人になっているのでしょうね。

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3号館と呼ばれていた頃はニカワ臭い古びた建物でしたが、昨年改築してすっかり小奇麗になっておりました。連休中だから閑散としておりましたが、木々が鬱蒼と繁っている環境はとても好きでした。

さて、今回の履修生は20余名。そのうち数名が現れませんでしたが、昨年度が4名だったので大幅増です。多忙な毎日だったので特に準備も何もしていないまま、場当たりで三日間すすめることにしました。

21日(月)
1.学生による自己紹介(出身地、専攻、最初に買ったCDなど)
2.グループ分け(10万円あったら音楽、食べ物、ファッションのうちどれに使うか?の回答別で)
3.他人の似顔絵描き
4.他人に向けた想像(小さいころのニックネーム、好物、ペットの名前など勝手に推察)
5.自分に関する記述(三色のポストイットに)長所、短所、将来の展望
6.リーダーを決めて、一人ひとりが上記に関することをプレゼン。お互いに意見交換
7.話し合いの中で浮かび上がってきたキーワードをポストイットにたくさん書き出す
8.キーワードを眺めて、ざっくりとグループのテーマを決める

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昼休み
9.「31ゲーム」
10.歌詞かるたでテーマにそった作詞の作業を開始
11.出来上がったフレーズをポスト・イットに書いて壁に貼りだす
12.フレーズを構成
13.グループごとに発表

教育学部の中でも色んな専攻があり、同じ学年でも話をしたことが無い相手が大勢いたとのこと。まずは三日間同じグループで作業をするので、お互いを知り結束してもらうための場作りに時間をかけました。出来上がった歌詞には曲をつける予定でしたが、思ったより学生の皆さんがじっくりと吟味しながら作業をしていたので、時間切れとなりました。ここには紹介できませんが、面白い歌詞ばかりでしたよ。

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二日目
1.「おじいちゃん、おばあちゃんが好きそうな曲20」を想像しながら曲名をポストイットに書く
2.グループ内でお互いの書きだした曲を確認しあい、共有
3.3つのグループごとに曲名を発表、自分のグループが独自に出した曲名に絞る
4.独自の曲を講師が講評(高齢者領域で認知度が高いかどうか、使用頻度が高いかどうか)
5.20曲のスタンダードをグループで選定(第1次)
6.歌集、楽譜集、資料を配付。これらを見ながら新たな5曲を調査し追加する(第2次)
7.足りなかったので3曲追加(第3次)
8.これら懐メロに平成の流行歌から「俺達の時代の曲」として高齢者に紹介する歌を2曲追加

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昼休み
9.「昭和ニュース映画」のDVD。を上映
10.ファッション(昭和30年代)のスライド上映
11.昭和と平成のランキング(PowerPoint)上映
12.三陸ことばと合併前の岩手県地図‥以上の資料から、高齢者の青春時代の様子を知る

休憩
13.グループごとに「高齢者施設へ慰問」を想定して、活動内の手遊びと歌の組み合わせを考える
14.グループごとに発表
15.お互いの良いところ、悪いところを考えてシェア

上にある「スリラー」と書いた紙ですが、祖父母世代の高齢者にはマイケル・ジャクソンがいいんじゃないのかしら?と真剣に応えた学生がいて、あらゆる意味で衝撃的でした‥マイケル、いつの時代の人だと思っていたんだろう?面白いなあ。

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三日目
1.円になってボディパーカッション、リーダーを順番につとめる
2.三人組で、自分の考えたリズムで合奏する(365歩のマーチ)
3.簡単な有酸素運動とペアストレッチ
4.グループに戻って「サザエさん」に合わせた保育園でのお遊戯を考案
5.療育キャンプでのスヌーズレンの様子を見せる
6.児童領域における音楽療法の意義「表現を促す」「五感を使う」「発達につながる」の説明
7.楽器争奪(?)イントロ当てクイズ
8.児童領域の活動「あそびにきたのはだれかしら」「わたしをさがしてね」紹介
9.「ものがたりの感じられる」読み聞かせと音楽を融合した活動をグループごとに考える

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昼休み
10.引き続き活動作り
11.グループごとに発表会
12.撮影したVTRを見ながら問題点や感想をシェアリング
13.緩和ケアの音楽療法DVD鑑賞
14.「臨終の際に聞きたい音楽8曲」を書く
15.書いた歌の紙を学生同士で「私の大事な音楽をプレゼント」と交換
16.「三日間で学んだこと」「自由に感想」レポート提出で終了

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提出されたレポートの大半に

「三日間の集中講義なので、ずっと音楽療法に関する講義を座りながら延々と聞かされるんじゃないかと覚悟していたけど、遊び感覚で参加できたのであっという間でした」

とありました。本当はみんなが戦々恐々としていたような座学で三日間やれば、本当に充実した学術的な講義になったんだと思いますが、担当者が私のようなおちゃらけた人間だったのが運の尽き‥何かの不幸だと思って諦めてもらうしかありません。でもまあ、無い袖は振れないので。実力以上のことは出来ません。

東日本大震災の被災地で実施した活動の紹介は本当は迷いました。事前に学生全員から被災地出身かどうか、PTSDになるような被災体験は無いかどうかしつこく聞いて、誰も該当者がいないことを確認してからお見せしたのですが、レポートには実は祖母の家が‥などの記述があり。でも、その学生さんは被災地で音楽を使うことの意義や大切さを訥々と感想として書いてくれて、やってよかったなあ‥と有難く思いました。

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これから先、大学で非常勤講師として音楽療法の話をする機会が訪れるのかどうかは定かではありませんが、学生との語らいや交流は私にとってとても意義深い体験だったので、その日に備えて少しずつ語るべきことや伝えたい教えを増やして行こうと思います。

5月 28

長生きの歌

先日、宮古市の児童相談所隣接仮設におじゃました際、参加者のお一人から

「先日、知り合いからこんな歌を教わってきたのよ」

と歌詞を渡されました。東京都の宮沢春江さんという90代の女性が作った短歌をもとに、その知人の方がアレンジして、既存の曲に合わせて歌っていたのだそうです。その歌詞がこれです。

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「年をとるってどんなこと」

1.
年をとるってどんなこと
忘れっぽいというけれど
いっぱいつまった知恵の箱
出すのに一寸迷うけど

2.
年をとるってどんなこと
耳は遠いし目も悪い
あらゆる物をキャッチして
私を育てた疲れです

3.
年をとるってどんなこと
腰が曲がるというけれど
お世話になった人々に
感謝感謝の姿です

4.
年をとるってどんなこと
だれでも同じ年をとる
どうせとるなら元気よく
楽しく年をとりましょう

私はこの詩に「一月一日」の節をつけて歌ってみました。ぴったりでした。それにしても、可愛らしくておちゃめな詩だと思いませんか?こういう年の重ね方をしてみたいものです!

5月 08

連休も終わり…

ブログをご覧くださっている皆様、いかがお過ごしでしたでしょうか?私は4日間ほど休みがありましたが、遠出もせず、雫石町や紫波町の道の駅でB級グルメに舌鼓を打ち、野菜やハーブの苗を買って畑に植える毎日でした。既に老後っぽい感じ。

野菜を植えている最中に色々な思い出が去来してきたのですが「宮古市藤畑仮設で住人の皆さんが新しい取り組みで紫蘇をプランターに植えているのを見て“種は一晩水に漬けてからじゃないと発芽しませんよ”と文字通り水をさしたこと(←うまいこと言ったつもり」「大槌町小鎚第十七仮設の畑を見て“うわー、ネギきれいに植えてますね!プロ並ですね!”と褒めたら“あれはプロである大家さんが植えたもの”と場をしらけさせたこと」など、心胆を寒からしめる自らの赤っ恥エピソードばかりでした。病は口より入り、災いは口より出ずるとは良く言ったものです。言動には十分注意しようと思います。

それはそうと(秒速で立ち直る)震災のおこるずっと前に某所で見かけたとても味わい深い画像を、ここに掲載します。

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岩手県はご存知のように訛りがあって、聞きなれない方にはちょっとわかりづらい発音なのですが、ネイティブの皆さんにとってはこれが不動の標準語であるわけです。日本語は表意文字と表音文字から成り立っている言語ですが、訛っている皆さんがひらがなやカタカナを書く際は「聞いて」「しゃべっている」音声をそのまま文字で表しますので、画像のような感じになるのですね。

私、この画像に出てくる「はづめのたのしとて」がとても好きで、この魅力があるからこそ岩手県でずっと仕事を続けていられるのだと思います。