2011年4月16日から被災地支援を開始して以来、私はいくつか自分だけの決まり事を作って、それを守りながら活動してきました。そのひとつが、震災と津波で破壊された風景を撮影しない、ということです。ねじまがったガードレールや、津波の膂力によって崩れた堤防、あまたの瓦礫は自分の目だけに焼き付けて、写真として残さないようにしてきました。
どうしてこんな決まり事を思いついたのか、言葉では説明できないのですが、被災直後のあの空間に立った人間として、直感として浮かんできたのでした。二年半経過した今も、これは守り続けています。
風景を撮影するなら、復興を果たした街の光景や、変わらない自然の姿だけを写したいと思っています。
一昨日、初めて訪れた陸前高田市の広田半島は、市街地の荒涼とした被災風景とはまた違って、穏やかな海と賑やかな人の暮らしがありました。仮設住宅を訪れるまで少々時間があったので、海辺まで足を伸ばして写真を撮影してきました。
一羽の鳥が我々のすぐそばで佇んでいたのですが、波打ち際すれすれだったので時々不意に足を波にとられ、体ごと持って行かれている姿がなんだかなごみました。本人はそしらぬ顔だったのがまた可愛かったです。
今回、広田半島の仕事は単発での依頼でしたが、また訪れる機会は来るのでしょうか。未来のことはまだわかりませんが、いつかプライベートででも訪れてみたいです。
帰り道、「川の駅よこた」という産直で出会った可愛い犬。
「こんにちわ」
と声をかけたら、ぐいぐいと寄ってきました。
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