東日本大震災被災地域の医療・福祉従事者向け音楽療法セミナーin宮古市 2016/2/28

岩手県福祉基金の助成金による被災地セミナーも、いよいよこの日で最終回。今回の講師は福岡県からはるばるお越しいただいた精神科医で音楽療法士の齋藤考由先生と、東邦音楽大学の平田紀子先生です。

午前中は齋藤先生に「支援者だって疲れるのだ」と題した講演をしていただきましたが、今までに経験をしたことが無いような、不思議な時間となりました。先生はテノール歌手としてもご活躍中なのですが、様々な歌を弾き語りしながら、直後に歌の内容とシンクロしたお話や、ご自身がこれまで体験してこられたエピソードをお話してくださいました。

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「手紙」「サナトリウム」「旅立つ日」「いのちの理由」‥スクリーンに映し出される歌詞を見ながら、素晴らしいひびきの歌声にじんわりと心を震わせて、目頭をおさえる参加者が続出。

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こういう切り口の講演は本当に見たことがありません。正味一時間の講演でしたが(残り時間は車座になっての談話でした)、終わったあともずっと胸に残る体験でした。

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「心の復興って、なんだろうね。心は‥復興しないよね」

私が一番、印象に残った言葉です。つい、惰性で「心の復興」という言い回しをしがちですが、深く考えるとちぐはぐな表現なんだなあ‥と思いました。そして先生は「癒やしを与える」という言葉のうさんくささについても言及、これは私もずっと感じていたことだったので、膝を打ちました。

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精神科医のお立場から、支援を必要としている人への寄り添いの姿勢、支援者の疲弊についてたくさんの課題を御示唆いただきました。

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最後になって、参加した皆さんからいろんな苦悩、辛い体験、これからの展望についての話も聞けて、とても充実した内容となりました。ありがとうございました。先生は翌日からご予定がおありだったので、終了後はお弟子Y運転で一目散に盛岡へと移動、新幹線から飛行機へと乗り継いで福岡県までお帰りになりました。

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午後は平田紀子先生による音楽療法(高齢者領域を中心に)理論と技術を、実践を交えてお話いただきましたが、本当に笑い声が絶えない愉快な講演となりました。

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実は彼女と私は四半世紀の付き合いで、プライベートでもとても仲良しなのですが、元々は彼女が某所で発表していたのを聞いて

「この人はすごい!」

と一目惚れして、ストーカーのようにつきまとったのが発端でした。全く警戒されなかったのをこれ幸いに、それからずっと親しく苦楽をともにシております(って変な言い方ですね)。久々に講師としてお招きしたのですが、変わらず刺激的で学びの多い内容にエキサイトしてしまいました。

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特に今回、法人理事の面々も

「これ、いただき!」

と気色ばんだのが、音階楽器(トーンチャイムやハンドベル)をシンプルな音列で配布して演奏してもらう技でした。ここでは詳しく書きませんが(ケチ)和声というとつい三和音を揃えて渡しがちな先入観を見事に打ち砕いてくれましたよ。すごい!

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その他、パーカッションの鳴らし方、歌の伴奏、キュー出し全てに置いて、細やかな心遣いと包み込むような優しさがつまっていました。

本当にありがとうございました!どうぞまたいらしてくださいね。ご参加くださった皆様もお疲れ様でした、どうぞまた企画した際はご参加いただけますように。

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