10月 22

避難所や仮設住宅で教わった名曲 1

音楽療法の仕事を始めて20年以上たちますが、まだまだ知らない曲がたくさんあります。
出来る限り、空いた時間を使って勉強しているつもりですが、行き届かない時代や歌手やジャンルが、山のように立ちはだかっております。
私は普段、精神科デイケアに勤務していますが、カラオケ大好きな(私の)親世代の利用者さんたちは、私にとっては流行歌をたたきこんでくれる良い先生です。
で。
昨年から被災地で活動を始めて、できるだけ「被災地だから」と身構えず、普段通りの活動を持ち込もうと思って続けてきました。
なので
「今度、あの曲持ってきてよ」
と言われれば
「あいよ」
と、デイケアにいる時のように約束して、必ずそれは果たすようにしています。
おかげで、今まで知らなかった名曲をいっぱい知ることができました。
音楽療法士にとってレパートリーが増える=ゲームでいうところのレベルが上がることに他なりません。
(つい昨日ドラクエⅠをクリアしました‥45歳にして初RPG)
ではご紹介しましょう。
「花笠道中」 美空ひばり
http://www.youtube.com/watch?v=9yuZnr0_dF8
「東京の灯よさようなら」 新川二郎
http://www.youtube.com/watch?v=GjJBunThqfM
「落葉しぐれ」 三浦洸一
http://www.youtube.com/watch?v=nAemMUfPu84&feature=related
これらは、昨年春から初夏にかけて山田町の各避難所を訪問していた頃、現地の保健師さんが事前にリクエストを募り、私にFAXで知らせてくれた曲です。
これをきっかけに、他の現場でも使用していますが、どこでも皆さん
「懐かしいわー」
「これ好きだわー」
と喜んで下さいます。

10月 17

歌詞の提示について

仮設住宅の談話室では、一枚50円前後の白い模造紙に歌詞を書いたものを提示して、参加者と一緒に歌を歌っています。
この方法は昔から、高齢者や成人を対象とした集団音楽療法の現場では、最もポピュラーなやり方です。
一人ひとりに印刷した歌集を渡す方法もありますが、どちらを選択するかは活動の目的やセラピストの考え方によって変わってきます。
私の用いている方法をここでご紹介します。
1.鉛筆で下書きした上から、毛筆で歌詞を書いていきます。
Kami01
なぜ毛筆なのか?と良く聞かれますが、油性マジックで書いた文字よりも遠くの方まで見えること、一定の年代以上の方にとって見えやすいことが挙げられます。
私は左利きなので毛筆はとても苦手なのですが、毎回頑張って書いています。字は下手ですが、なるべく時間をかけて丁寧に書いています。
また、歌う節やセンテンスに合わせて行をかえています。見やすさを重視した結果です。
2.漢字の脇にふりがなをふります。
Kami02
どんなに簡単な漢字でも、必ずひらがなのふりがなをふります。歌う前に参加者と一緒に歌詞の読み合わせをして、読み方の確認も怠りません。ここでの目的は、読み間違いを防ぎ「参加者が恥をかかないようにする」ことです。
人前で大声を出して歌を歌う、という習慣が無い人が集団で音楽活動をするのは、とてもハードルが高い行為です。勇気を振り絞って参加してくださった方が、不用意に人前で恥をかくと二度と足を運んでくれなくなることもあります。
気持ち良く、楽しく活動を行うためには、足元の小石を取り除くように念には念を入れて、下準備を行うことが大切です。
3.作詞者、作曲者、歌集名、発表年を書きいれます。
Kami03
懐かしい唄をうたって発散、というのも大事な目的ですが、もっと大事なことは歌を媒介として参加者の昔の記憶をよみがえらせて、当時の思い出を語り合ってもらったり、参加者同士の交流を深めることです。
そのきっかけのひとつに、誰が曲を作って誰が歌ったのか。いつ流行したのか。その当時の日本(岩手)ではどんな出来事があったのかを下調べしておき、参加者の記憶の掘り起こしを手伝うのもセラピストの重要な仕事です。
4.模造紙裏側の四辺を布テープで補強します。
Kami04
歌詞を書いた模造紙は、談話室にあるホワイトボードにマグネットで貼り付けるために、折りたたんだものを広げ、使い終わったら再び折りたたみます。そんな作業を何年も繰り返すうち、紙は破け、疲弊していきます。
少しでも寿命を延ばすために、四辺をこうやって補強しておくと、せっかく時間をかけて丁寧に書いた歌詞も長持ちします。
ホワイトボードの無い談話室の場合(けっこうあります)、窓のカーテンにクリップで挟みますが、テープで補強してあるとクシャっとならないので便利です。
カーテンも無い場合は、最終手段で画鋲を使います。この場合もテープが貼ってあると長持ちします。
5.折り癖をつけて畳みます。
Kami05
Kami06
私は縦方向に三つ折り、横方向にも三つ折りで畳みます。
これは、入れるバッグが100円ショップで売っているもので、このサイズだとぴったりだからという理由です。
6.右上に曲名を書きいれ、年代別に丸いシールを貼りつける
Kami07
仮設住宅には、毎回「童謡・唱歌」「民謡」「流行歌」など300曲を持ち込んでいます。ここからリクエストを受けて取り出すのは、とても大変な作業なので、すぐに見つけられるように分かりやすい位置に曲名を入れ、年代別に色分けしたシールを貼っています。
金色→明治・大正
銀色→昭和戦前
青色→昭和20年代
緑色→昭和30年代
赤色→昭和40年代
桃色→昭和50年代~60年代
黄色→平成
橙色→民謡
 
※童謡・唱歌は年代で分別しました
カラオケのカタログからすると「たった300曲?」と思う方もいるかと思いますが、模造紙一枚につきたった一曲なので、私となすちゃん二人で談話室に持ち込むのは本当に大変です。しかも、参加者からリクエストを受けて日に日に曲数が増えてきているので、これから益々大変になるでしょう。
なすちゃんからは
「もっと減らそうよ」
「っていうかさらに分別してほしい」
と苦情が出ていますが‥さて、どうなるやら。

10月 11

被災地で使用した曲ランキング

当初は、それまで保健センターの介護予防教室や、公民館の健康講座などで用いた「懐メロ」「童謡唱歌」「民謡」の歌詞を流用していた被災地での音楽療法ですが、徐々に
「あの曲ないの?」
といった声も出てきて、参加者のリクエストを募っているうちにどんどん持ち歩いている歌詞のレパートリーが増えてきました。
150曲→300曲
この一年でこれくらい増加!
大きな模造紙に一曲、なので持ち歩く研修生やなすちゃんには苦労をかけます‥ごめん、そして有難う。
(自分でも持てっつの)
さて、これだけの曲数を用意して毎回のぞんていますが、反応が芳しい曲とそうじゃない曲があります。
そうじゃない曲は徐々に使わなくなっていきます。
人気の曲はどこにいっても人気。
昨年10月から開始した仮設巡回音楽療法での記録から統計をとりましたので
「被災地で使用した曲」
のうち、回数の多い順から御紹介したいと思います。
皆さんは使用頻度の高い曲は何だと思いますか?
下記の答えを見る前に、予測してみて下さい。
予測しましたか?
ではランキングを発表します。
1位
「一週間に十日来い」 五月みどり
2位
「お富さん」春日八郎
3位
「リンゴの唄」並木路子
同率4位
「青い山脈」藤山一郎・奈良光枝
同率4位
命くれない」瀬川瑛子
同率4位
「花街の母」金田たつえ
同率7位
「勘太郎月夜唄」小畑実
同率7位
「北国の春」千昌夫
同率7位
「港町十三番地」美空ひばり
同率10位
「だんな様」三船和子
同率10位
「二輪草」川中美幸
‥多分、正解者はいないのではないかと思われます。
1位、すごいでしょう?びっくりでしょう?
物凄く意外な曲ではないですか?
実はこの曲、私あちこちで
「あてふり」
を披露していて、踊ると物凄く皆さんから喜ばれるんです。
他の曲でも
「マドロス」
「股旅」
で踊れる曲が多いですね。踊れる、というのは重要なキーワードです。
あとはご当地ソング。
岩手県出身歌手、もしくは岩手がモチーフの曲が人気です。
全体的に、夜の匂いというかちょっぴりアダルトな感じの曲が人気だという印象ですね。
お座敷系というか。
こんなわけで、仮設にお邪魔する時は芸者さんのカツラが手放せません。